「投資家として成功するなら、将来のことが予想できればいいのに。タイムマシーンがあって、数年後から今の時代にタイムスリップすれば億万長者だよなあ」
誰もが一度は考えたことがある「タイムスリップ」。たった一日先のことさえ予測できれば、株式投資では毎日勝ち続けて、簡単に億万長者になることができます
しかし、現実には、ほとんどの人は、株式投資で損失を出して株式投資をやめてしまいます
さて、世界の投資家の中でもっとも有名な「ジムロジャーズ」という投資家がいます
本書『お金の流れで読む日本と世界の未来』はジムロジャーズの著書の翻訳となります
本書を読んで日本の将来を予想できるかは未知数ですが、少なくとも「日本の将来を予想する」ことはできると思います
本書を読んで、筆者が学んだことは以下の通りです
- 将来を予想するには「歴史」を勉強すること。歴史はくりかえすから
- 日本は移民を受け入れない場合には、50〜100年後に衰退する
- 観光業、農業、古民家、教育がこれから成長する
- これからは中国が世界を制するので、「中国語」を学ぶべき
- 世界の投資家と言えども、投資の情報収集は、誰でも手に入る経済新聞のみ。他人の入れ知恵でなく、一人で考える
- 世界の変化に柔軟についていけないと、将来は厳しい
情報量が多かったので、簡単にまとめてみました
本書で学んだ用語一覧
- ソフトランディング:金融の世界では急成長のあとで、暴落しないように、あえて成長を遅らせるための経済施策のこと
- ETF(Exchange Traded Funds):日経平均株価との連動を目指している投資信託のこと
- STEM分野:化学、テクノロジ、エンジニアリング、数学の理系分野の略称
- ユニコーン企業:評価額10億以上、非上場、創業10年未満の企業の総称
【書評】世界の投資家ジムロジャーズの『お金の流れで読む日本と世界の未来』を読んで、日本の将来を勉強してみた
将来を予想するには「歴史」を勉強すること。歴史はくりかえすから
著者は、「将来を予想するには、歴史を学ぶべき」と述べています
その中で「日本は衰退する」というショッキングな発言をしています
この理由としては、「海外からの移民を拒んだ国は衰退する歴史があるから」と根拠を述べています
実例としてはヨーロッパ、特にドイツでは全人口の1〜2%の難民を受け入れる決断をしていますが日本で同じように決断するのは難しいでしょうと述べています
グローバル社会と言いつつ、外国人の採用を増やしている企業も増えましたが、まだまだ外国人従業員は特別扱いされている気がします
日本人は、日本人とばかりで固まってしまうので、結局グローバルとはほど遠い現実があります
もし日本が移民を徐々に受け入れることをしなければ、日本は衰退すると述べています
観光業、農業、古民家、教育がこれから成長する
日本のビジネスで、これから伸びる分野は「観光業」「農業」「古民家」「教育」と述べています
これは、日本に住んでいても実感できますよね
日本には重要文化財や観光名所が非常に多いことが魅力的です
そのため、外国人向けの「観光業」は、これから伸びていくと述べています
元々は、日本は物価が高いので外国人観光客から嫌われていたようですが、近年は中国からの観光客が非常に多いので、一気に観光業が伸び始めました
次に「農業」も伸びる分野だそうです
日本の場合は、農業は「不人気」となっている現状があり、農家が不足する懸念があります
その一方で、日本の農業を海外に展開して成功している事例を上げており、農地が非常に安いうちに、農地を購入し、農家を雇ってビジネスをすることで、まだまだ成長できるのでは、と予測しています
ただ、懸念としては、日本の農作物は値段が高すぎるので、海外の安い農作物と比較すると値段の面で競争に負けてしまうことを危惧してます
とはいえ、食品に対する需要はなくなることはありませんので、これから伸びる分野として期待がもてると述べています
「古民家」は観光業と同じで、近代化されていない「古民家」に対して、外国人環境客の需要があるということを述べています
そして「教育」の分野ですが、日本の場合は少子化により労働力が足りない一方で、大学は全入時代になって誰でも入学できます
一方で「中国」「韓国」「インド」では大学に対して人口が多いことで、大学に入りたくても入れない学生がたくさんいます
日本の大学に「中国」「韓国」「インド」の学生が入学することで、ウィンウィンの関係になり、教育分野は伸びるのではと述べています
これからは中国が世界を制するので、「中国語」を学ぶべき
イギリスが大量の植民地を作っていた時代から、中国が世界の中心になる時代へと移り変わっていると述べています
そのため、「英語」だけでなく「中国語」を学ぶのを進めています
実際にジムロジャースの子供や孫は、シンガポールで生活させることで、中国語をマスターさせているようです
中国がこれから伸びるのは、優秀なIT人材が多く、さらにIT企業も次々と世界規模に成長しているからです
世界のIT企業といえばGAFA(Google.apple.Facebook.Amazon)と言われていますが、中国のユニコーン企業と呼ばれるIT分野の企業、特にアリババ、百度(パイドウ)、テンセント、華為(ファーウェイ)、などが成長しています
中国はIT、化学、数学の理系分野に進む人材が多く、競争も激しいので、優秀なIT人材が生まれやすいのだそうです
比率でいえば、日本人の2倍以上も理系分野を志望する人が多いのです
というわけで、中国のビジネスが伸びる上に中国のビジネスが一般的になれば、当然「中国語」が使いこなせることが有利に働くわけです
投資の情報収集は、誰でも手に入る経済新聞のみ。他人の入れ知恵でなく、一人で考える
何年も投資の世界で成果を出せる人は、ほんの一握りです
それだけ株式投資で成功しているわけですから、何か秘密の情報を入手する方法があるのではないかという質問にたいして、
ジムロジャースは、NYT(ニューヨークタイムズ)とほか数社の新聞のみと述べています
株式投資をする際は、「慎重」に投資先の企業を分析し、起業家がどのように仕事をしているのか、実際に企業に足を運んで確認すると述べています
ちなみに、どれくらい事前調査に時間をかけるかは、企業によってまちまちだそうです
とにかく、この企業や分野のことを知り尽くしたと思ったタイミングで、「買い」を入れ、あとはじっくりと待つそうです
さらに、投資先を選ぶ際には、一人で決断するそうです
周囲に優秀な投資家が入れば、入れ知恵してもらうのが良いと思いますが、実際には、自分一人で決断して行動した方が成果がでるそうです
世界の変化に柔軟についていけないと、将来は厳しい
アメリカの優秀な大学の学生は、いまだに「医者」「弁護士」を目指すとのことです
これは日本でも同じですね
本来ならば、時代の流れを読むと「IT」「テクノロジ」分野に挑戦すべきなのですが、いまだに「医者」「弁護士」になりたがる学生が多い
一方で「中国」「韓国」「シンガポール」などでは「IT」「テクノロジ」分野に力を入れており、若くしてビジネスで成功している人もいます
日本でも「IT起業家」が六本木ヒルズに住むような時代がありましたし、いまだにIT分野に強い人が富も得ている時代です
IT分野と言えるかはわかりませんが、YouTubeを通して億万長者になる人が日本でも増えていますからね
IT分野の成長のスピードは早すぎますし、ついていくことが非常に困難です
たった数年の間に「インターネット」が普及し、「スマホ」が登場し、「ブロックチェーン」「AI」「RPA」「IOT」などのIT用語が登場し、
金融とITを融合させた「フィンテック分野」では「仮想通貨」「ビットコイン」が爆発的に流行りました
ジムロジャース本人はプログラミングなどを理解することはできなかったと言いますが、できるかぎり新しい分野、特にIT分野のスキルを身につけておくことが、
市場価値を落とさない目的でも有効だということを述べています
まとめ。書評『お金の流れで読む日本と世界の未来』を読んで、危機感が湧いてきた
『お金の流れで読む日本と世界の未来』は230ページほどの分量ですが、情報量が非常に多く、読み応えがありました
本ブログで紹介しているのは、ほんの一部です
筆者が一番心に残ったのは「中国の企業が中心になる」ということです
実際に、IT分野で中国の方と仕事をすることがありますが、みなさん非常に優秀です
一方で、日本の場合は、IT分野を社会人になってから未経験で挑戦したりしています
大学で理系でゴリゴリと厳しい教育を受けている海外の優秀な人材に、あっというまに日本の人材が追い抜かれてしまうのではないかと危惧しました
また、ジムロジャースは「国の発展には多様性が重要」と述べています
これは「働き手の人口が、少子化によって減ってしまったから、突破口として移民を受け入れるべき」という主張です
理想論としては少子化の対策なのですが、即効性という意味では、働き手の人材を海外から雇えばいいという発想です
合理的ではあるのですが、日本ではなかなか難しいですよね
とはいえ、ほんの少し前と比較すれば、企業の中に外国人の従業員も増えてきました
徐々にですが、日本の外国人比率はどんどん増えていくのは、間違い無いでしょう
現に、このブログを書いている六本木のツタヤ書店は、日本人よりも外国人の方が多いのでは無いかと錯覚するくらい、海外のかたが多いです
英語をマスターすることは必須といえますし、できれば中国語まで理解できるともっとよいと思いました
非常に読み応えがあるオススメの本でしたので、ぜひ詳細はこちらから読んでみてください
世界の事情や、日本の将来など、ほとんど興味がなかったのですが、本書を読んだことで、世界の出来事は自分自身の生活にも繋がってくることを知ることができました