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壮絶な働き方「ブラック霞ヶ関」を読んだ感想

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タクミです。

 

「ブラック霞ヶ関」という元厚生労働省の方が書いた本を読みました。

 

名前の通り「ブラック企業」のように激務をこなす「官僚」について、その仕事ぶりや問題点、解決案など、著者の意見がまとめられた本です。

 

 

壮絶な働き方「ブラック霞ヶ関」を読んだ感想

月150〜200時間、MAX300時間の壮絶な深夜残業、土日対応

民間企業では働き方改革が進み、36協定など、社員の残業時間を制限する法律ができるようになりました。

 

それによって民間企業の働き方は年々改善されている一方で、官僚の働き方は月150〜200時間にも及ぶ深夜残業、土日対応が続く壮絶な働き方のようです。

 

印象に残ったのは「2000年代初頭は、民間企業も官僚と同じようにブラック企業のように働くのが当たり前だった」ということです。

 

東大や、その他有名大学を卒業したエリートが、官僚になるか、民間でお金稼ぎをするかの2択を選択する際に、「どちらも激務なのだから官僚にするか」という考えがあったようです。

 

しかし、現在では激務だった民間企業が一気に働き方改革をしたことで、官僚のみが取り残されてしまい、いまだに連日の激務に耐えているとのことです。

 

官僚よりも民間の方がお金が稼げる

激務であっても、残業代や休日対応の手当が大きくもらえるなら、金銭的には恵まれますから不満も出にくいと思います。

 

しかし官僚は「税金」が給与になるという性質から、サービス残業が横行しており、残業代が満額支払われることはないそうです。

 

また、同じ大学卒の民間に行った人と比較すると、これだけ残業しても年収は民間の方が高いことがほとんどとのことです。

 

確かに、最近、外務省やデジタル庁の転職採用など、民間から官公庁向けの採用が盛んに行われていますが、民間大手からの転職の場合、年収は100万円〜300万円下がる場合が多そうです。

 

官僚の年収で35歳で600万円〜700万円だとすれば、生活に困ることはありませんが、民間大手に勤務する人であれば、800万円以上稼いでいますし、金融、商社など一部の業界では1000万円超えの場合もあります。

 

東大に入る人は、官僚にも民間大手企業にも内定をもらえるエリートです。

 

お金の面では民間の方が有利ですが、それでも国民のためにと官僚になりたい人が官僚になっていました。

 

しかし現在の学生は「人間的な生活ができるのか気になる」とのこと。

 

たとえ激務と分かっていたとしても、それに耐えられるかを心配するのは当然のことです。

 

民間のほうが忙しくなくお金も稼げるのに、給与は民間より安く忙しい官僚になりたい、という人は年々減っているようです。

 

激務は仕事のクオリティを下げる

仕事の負荷に対する待遇が悪いことはまだ我慢できるにしても、激務により仕事のクオリティが下がるのは問題です。

 

著者は「仕事が忙しすぎて事務処理のミスが目立つようになった」ことを指摘しています。

 

正確な仕事が求められる官僚の仕事で、激務と睡眠不足によりミスが出るようでは、組織そのものが悪いということになります。

 

女性の働き方も配慮が難しい

官僚で働く女性についても、著者は言及しています。

 

働き盛りの20代半ば〜40歳と結婚、妊娠の時期が被ることで、官僚のような激務な仕事を続けにくい状態になってしまうとのことです。

 

 

実例として、妊婦の方に7割の稼働で働くように指示したところ、21〜22時にまで時短して働くような状態だったということです。

 

民間企業では21〜22時でも残業が多いですよね。このような状態がつい最近まであり、問題視されていました。

 

激務の原因は国会対応と国民からの問合せ

なぜ官僚が激務になるかについて、著者は「国会対応」と「国民からの問合せ」にあると述べています。

 

国会対応は大臣が答弁する際の質疑応答用の資料作成などになります。

 

紙文化であり印刷の手間がかかる上に、国会前日まで何が質疑されるかわからない状態とのことです。

 

そのため、事前に想定される質疑応答をまとめる必要があり、さらに国会直前に修正が必要になるので、激務になるようです。

 

また国民からの問合せ対応も激務の原因とのこと。

 

国民対応はコールセンターの専門会社に委託すれば良いのですが、委託には税金がかかるので、官僚自ら対応しているとのこと。

 

ただでさえ忙しいのに国民対応になると際限なく時間をとられてしまいます。

 

委託したくても無駄な税金を使えない、という点に官僚一人一人の負担が大きくなる原因があるようです。

 

本書を読んだ感想

著者はこのような激務の中でも、仕事自体は面白いので管理職になるまで続けていました。

 

しかし2019年に体調不良になり退職。本書を記載して、現在は会社を立ち上げているようです。

 

私は本書を読んで、以下のことを思いました。

 

  • 民間の激務度は官僚に比べれば大したことない
  • 忙しくなるとどの組織でも同じ問題がでる

 

まず官僚の激務度におどろきました。

 

私の所属する民間の会社も、つい最近までは月100時間を超える残業が当たり前だったようです。

 

私はmaxでも月80時間ですので、なんとか7年間継続していますが、官僚の働き方が必要であれば退職していたと思います。

 

また、忙しくなると退職、離婚率が上がるというのも、官僚でも民間でも同じようです。

 

忙しくなると、一つの仕事に集中できませんし、対応が雑になっていきます。

 

私も過去に海外出張しながら国内の仕事を並行して対応した際に、余裕がなくミスをしてしまったことがあります。

 

自分でも反省する点はあったと思いますが、やはり仕事に余裕がない状態だったことも理由だと、今では思います。

 

忙しい状態は「危険」であるという意識が、より一層強くなりました。

 

まとめ。官僚の働き方を知ってみよう。

本書を読むことで、官僚の壮絶な働き方を知ることができます。

 

民間企業で忙しくて辛い思いをしている人は「より優秀な人がもっと忙しく辛い状態なのか」と気づくことができます。

 

また本書は官僚の働き方がメインですが、官僚の仕事の面白さや仕組みについても触れています。

 

なかなか官僚の仕事を知る機会はないと思いますので、本書を読んで、官僚はどのような仕事をしているのか知ってみてはいかがでしょうか。