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FIREで理想的な生活にならない理由を考えてみた

タクミです。

 

FIREがブームになって数年が経ちました。

 

私自身は会社員として働く30代男ですが、FIREを目指しているわけではありません。

 

しかし、FIRE後の生活については興味があります。幸いなことに数多くのFIREを達成した人が、YouTubeやブログで、その生活について語ってくれる時代です。

 

しかし、中にはFIREを辞めて、また仕事を始めたという人もいます。仕事が嫌でお金を貯めて早期リタイアしたのに、結局、また仕事を始める、というわけです。

 

私はFIREできる資産も持っていませんので、想像だけになりますが、この理由について、「時間の使い方を自分で決めるのはエネルギーがいるから」という仮定をたててみました。

 

FIREで理想的な生活にならない理由を考えてみた

FIRE後に訪れる「使いきれないの時間」を「有効活用」するには?

なぜFIRE後に理想的な生活にならないのか。

 

理由は1つではありません。

 

  • 嫌な人間関係から解放される
  • 連勤などのルーティンを避けられる
  • 趣味の時間を自由に持てる
  • お金の心配が減る

 

どれもすばらしいFIREをすべき理由に感じます。もしFIREできる状態になったら多くの人は1度はFIREしたいと思うでしょう。

 

しかし、FIREの生活には一つだけ重要なポイントがあります。

 

それは「使いきれないほど時間がある状態になり、自分で時間の使い方を考えるエネルギーが必要だ」ということです。

 

時間が自由になると何が起きるのか

時間が自由になると、自分で24時間365日の時間の使い方を考えないといけなくなります。

 

例えば、年に一回あるゴールデンウィークでは、せっかくの長期休みなのだからと、休み前に計画を立てる人は多いですよね。

 

そしてゴールデンウイークが終わったとき、理想的な時間の使い方だった、といえる人は少ないでしょう。

 

  • もっと旅行したかった
  • もっと勉強したかった
  • もっと休みが欲しかった
  • 何日かはベッドでスマホをいじって無駄にしてしまった

 

特に「時間を無駄にした」経験は、満足度を大きく下げます。

 

どんなに緻密に休みの予定を計画しても、時間を完璧に使うことなどできません。

 

それでも、年に一回という「限定期間」を有効活用しようと、エネルギーを使わないといけなくなります。

 

さて、これが24時間365日だとしたらどうでしょう。

 

ゴールデンウィークですら、休みの時間の使い方を考えるのにエネルギーを使うのに、ゴールデンウェークの36倍以上のエネルギーを使って、年間の行動計画を立てる必要があります。

 

そして、たいていの場合は月毎にざっくりと計画を立てるか、最初の1〜2ヶ月だけ旅行や勉強、読書や映画などのコンテンツ視聴の予定を入れられたとしても、3ヶ月目以降の計画を立てるのは、難しいでしょう。

 

結果として、時間が大量にあるにもかかわらず「時間を無駄にしてしまった」と感じる日が、FIREする前よりも多くなってしまいます。

 

それならば、かつて仕事をしていたときのように「生産性のあること」をやりたいと思うようになり、結果として、仕事を再開する、という流れなのではないかと思います。

 

時間に制限がある方が時間を大切にする

物理的に大量の時間があったとしても、「自由時間に制限がある」方が、時間単位の幸福度は高くなります。

 

  • 大好きな本や映画を見る時間
  • 趣味の時間
  • 友達とリラックスする時間
  • 自分の過去を振り返る時間

 

どれも大切な時間ですが、もし「1日8時間やらないといけない」となったら、ストレスが溜まるはずです。

 

本や映画を8時間もみたら、新鮮さもなくなり、目も腰も疲れます。

 

趣味のスポーツやゲームも、1日8時間ぶっ続けでやるのは体力的にもきついでしょう。

 

友達と1日8時間遊んでいたら、最初の2〜3時間で会話も1周して、友人なのになぜか気を遣いながらのこり5〜6時間話し続けないといけなくなります。

 

どの時間も1〜2時間くらいできれば満足するでしょう。それならば、1日8時間の中で、「本を読む」「趣味を楽しむ」「友人と話す」「自分と向き合う」時間を2時間ずつとれば満足できます。

 

ということは、毎週土日のどちらかの時間を使えば、十分満足できるということになります。

 

もっと時間が欲しい場合は、有給休暇をとって週3日休めればOKです。有給の日は友人は仕事でしょうから、自分のための勉強や趣味に時間を使えばOKです。

 

つまりFIREして、24時間365日もの時間を持たなくても、週2〜3日の休暇を「自由に」「確実に」取れれば、多くの人は十分満足するのではないでしょうか。

 

「時間があってもお金がない」のは退屈な学生時代と同じ

FIREして時間があったとしても、仕事をしないならお金は入りませんから、「限りあるお金」の中で、残りの生活をしないといけません。

 

残念ながら、自分の寿命や将来病気になる可能性などは予想できません。不慮の事故にあうかもしれません。

 

そうなると、自然とお金を使えなくなります。お金が減る恐怖やストレスの方が、お金を使って得られる幸福よりも上回るからです。

 

となると、時間がたくさんあっても贅沢な旅行や服を買ったり、美味しいご飯を食べることにお金を使うことはできなくなります。

 

例として、「学生時代は退屈だった」という人は多いと思います。

 

学生時代は春休みも夏休みも冬休みもありました。また仕事とは異なり、気分が乗らなければ授業をサボってもペナルティもありません。

 

それだけ多くの時間があるにもかかわらず、学生時代は退屈だと感じるのは「時間の価値がわからない」「お金を使えない」という2つの条件に当てはまるからです。

 

先ほど書いたように、時間は「制限」された方がありがたみがあります。

 

学生時代は、1日8時間、友人と一緒にいることができます。週5日以上サークルや部活のメンバーと一緒という人もいるでしょう。

 

しかし、先ほど書いたように、それだけ長い時間を一緒に過ごしていると、時間のありがたみに気づくことはできません。

 

また学生時代は、お金がありません。旅行や美食、デートにお金を使おうにも、お金がないので行動範囲や経験値が増えません。

 

これでは、いくら時間があっても、その時間を有効活用できません。

 

結果として、ありあまる時間を「アルバイト」に使い、月3〜5万円の少額を稼ぎつつ、月10万円の学費を支払っているのに、大学の授業をサボる、という「お金と時間を無駄にする」行動をしてしまいます。

 

時間はただたくさんあっても有効活用できません。「お金が自由に使える」ことで、時間の価値が高まります。

 

FIREをした後に潤沢な資金があれば、お金を使って時間の価値を最大化できます。

 

しかし数千万程度の「最低限の資産」だけためて、若くしてリタイアしてしまうと、「時間はあってもお金は使えない」状態になってしまい、時間の価値を引き出せないので、満足度が思ったよりも上がらない、と言う状態になるのではないかと思います。

 

まとめ。FIREよりも「働きやすい職場で長く働く」を意識する

FIREを盲目的にめざすのは、現在の仕事が辛い人にとっては、現実逃避にもなりますし楽しいかもしれません。

 

しかし、FIREをすることによって時間とお金のバランスが、極端に時間によってしまうと、仕事をしていた時の方が満足度が高い、という状態になってしまいます。

 

それならば、「職場の人間関係がドライすぎず、ウェットすぎない状態」で、「自由に有給休暇や時差勤務を選択」でき、「リストラのリスクが少ない職場」をなんとか見つけて、そこで長く働く方が、FIREするよりも満足度は高くなると思います。

 

唯一の例外は「今の仕事を老後まで続けても達成できないこと」をやりたいという人です。

 

例えば、「海外で生活したい」「語学留学を1年やりたい」「趣味の楽器やスポーツを数年集中して極めたい」のように、明確な目的がある人は、連続した休みが取れない日系企業では実現できないので、FIREも一つの選択肢になります。

 

しかし、この場合であっても「転職の空白期間を使う」という手段もあります。

 

例えば、転職した際に、新しい職場で働くまでに1〜3ヶ月の空白期間を設けることで、その間に長期の旅行に行ったり、趣味に没頭することができます。

 

実際に私の周りでも、転職を機に1〜2ヶ月の有給休暇の消化期間をとっている人はたくさんいます。

 

FIREまで行かなくても、転職のような機会をうまく使うことで、自分がやりたいことを達成することができるかもしれません。

 

FIREという概念は面白いですし、FIREを目指す過程で資産形成できるという点は非常に魅力的です。

 

しかし、FIRE後の生活を夢見るよりも、他の手法を駆使して、自分のやりたいことができないかを検討する方が、実現できる可能性も高くなり、また満足度も高くなります。

 

「何がなんでもFIREを達成する」とこだわるのも一つの手法ですが、FIREをするためにお金を使わずに失った20代、30代の若い時間は、数億円、数百億円あっても取り戻すことはできません。

 

もしFIREしたいという方がいれば「定額を貯金しながら、現在を楽しむための行動をする」ことができないか、その方法を探しながら、生涯現役を目指して日々生きていくことも検討してみてはいかがでしょうか。