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お金を失うリスクを少なくするには『熔ける』を読むとわかる。

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タクミです。

 

2022年8月より開始した「読書週刊」。月5冊、3年間180冊を読破することを目標に読書に邁進しています。

www.takumoney.com

 

今回は『熔ける』という本を読みました。大王製紙の社長ながら「バカラ」というギャンブルで100億円以上を失ってしまった「井川意高」さんの自伝です。

 

日本ではギャンブルといえば以下のようなものがあります。

 

  • パチンコ
  • スロット
  • 競馬
  • 競輪
  • 麻雀
  • 宝くじ、スクラッチ

 

人生の中で、一度もギャンブルをしたことがない人は少ないのではないでしょうか。

 

せっかく稼いだお金をどう使うかは個人の自由です。

 

しかし「お金を失うリスクを少なくする」という意味では、勝率が軒並み100%を切っているギャンブルをしていては難しくなります。

 

それでは本書のご紹介をします。

 

 

 

お金を失うリスクを少なくするには『熔ける』を読むとわかる。

日本はどこでもギャンブルができる。

日本では、カジノを作るかどうかという話が少し前に話題になりました。

 

しかし、カジノ以前に、日本ではどこに行ってもギャンブルを楽しむことができます。

 

私は最近、北海道の美深町という街に行く機会がありました。

 

緯度はロシアと同じくらい日本の最北端に近い場所にある街です。

 

少子高齢化や都心への人口流出により、町民が年々減少し、個人商店の多くは閉店している寂しい印象を持ちました。

 

しかし、大通り沿いに小綺麗な建物があるので、おしゃれなスーパーかな、と思ったら「パチンコ屋」でした。

 

どんなに人が少ない地域であっても、たいていパチンコ屋は賑わっているのです。

 

日本では、地方のどの地域に行ってもギャンブルができる環境が整っています。

 

日本一に近いお金持ちが住むような麻布十番や広尾などの高級住宅街にも、パチンコ屋はしっかりとあります。

 

その意味では、日本でお金を失うリスクは至る所にあるといえます。

 

100億円をギャンブルで負けた経緯

著者の井川さんは、初めは100万円未満の金額で海外のカジノを楽しみ始めました。

 

たまたまビギナーズラックで100万円が2000万円になったことがきっかけとなり、その後、何年もギャンブルにハマります。

 

また、マカオのカジノでは「ジャンケット」というVIP専属の仲介人がおり、掛け金がなくなっても、借金ができるような状態があったことで、ギャンブルに使う金額が次第に大きくなっていきます。

 

次第に100万円、1000万円、と掛け金が大きくなり、手持ちのアメックスブラックやダイナースブラックカードを使って、無理やり高級腕時計を購入し、近くの質屋に入れて、ギャンブル用の現金を生み出すこともしていたようです。

 

結果として、借金につぐ借金が重なり、100億円という膨大な金額をギャンブルで失ってしまいました。

 

ギャンブルは病気

海外では「ギャンブルは病気」という定義がされているようです。

 

具体的には、ギャンブルにハマりやすい人の特徴として挙げられる「強迫観念が強い人」は要注意とのこと。

 

切手や貴重品のコレクションに執拗にこだわる人などは、ギャンブルにハマる可能性が高いようです。

 

著者の井川さんは、「ギャンブルできる時間が20時間あった場合、10時間やって、残り10時間はご飯を食べたりリフレッシュする、ということができない」と述べています。

 

ギャンブルに20時間使える時間があれば、20時間寝食をせずにぶっ続けでギャンブルにのめり込んでしまうタイプのようです。

 

一度、ギャンブルにハマってしまうとなかなかやめられない、というのは人間の心理なのかもしれません。

 

パチンコでも、「次こそは当たるはず」と思って、開店から閉店までずっとパチンコをやっている人もいるのではないでしょうか。

 

一番良い方法は、「ギャンブルに手を出さない」ことですが、仮にギャンブルを始めてしまうと、習慣化して辞められなくなることになりそうです。

 

ギャンブルは勉強が苦手な人がハマる、ということはない。

著者の井川さんは、筑波大学附属高校から東京大学文科一類に進学した勉学のエリートです。

 

祖父の創業した大王製紙の後継になるために学齢が必要だった、というよりは、父が非常にスパルタで暴君だったようで、勉強ができないと鉄拳制裁がある家庭で、仕方なく勉強をした方のようです。

 

元々は地方出身で田舎育ちのようですが、幼少期から勉強がとにかくできたようで、天性の勉強の才能がある方なのだと思います。

 

また、大王製紙に入ってからの仕事ぶりも評判は高く、42才の若さで大王製紙の社長になります。

 

勉強だけできるエリート、というわけではなく、赤字部署の立て直しのために、銀行を回って手厳しい交渉をするなど、ビジネスマンとしても評価が高かったようです。

 

そのようなエリートの方が、なぜギャンブルで100億円も失うまでハマってしまうのか、そしてそのお金を会社から引き出してしまったのか、ということについては、本人は「わからない」と語っています。

 

本書では「数学は苦手だったので、それがギャンブルで痛い目を見た理由かもしれない」と冗談混じりに書いていますが、東大では文系でもセンター試験や二次試験で数学が必要なので、常人よりは明らかに優秀なことは間違いありません。

 

「ギャンブルは頭の良し悪しに関係なく、誰でもハマる可能性があるもの」と考えておいた方がよさそうです。

 

まとめ。お金を失うリスクを減らすには『熔ける』を読んでみよう。

100億円もの大金をギャンブルで失える人は、そうそういません。

 

井川さんの場合は、会社の株を売却することで、返済には成功してことなきを得たようですが、一般の方であれば、膨らむ借金が返せずに自暴自棄になってしまう可能性があります。

 

本書ではギャンブルの怖さについて触れられています。最も恐ろしいのはギャンブルにハマった場合にどのように抜け出せば良いかには、あまり深く触れられていないことです。

 

日本ではカジノはありませんが、冒頭に書いたギャンブルを誰でも楽しむことができます。

 

借金をせずに、自分の持ち金だけで楽しむ分には問題ないですが、ギャンブルの不確実性とたまにある成功体験のバランスを体験すると、脳からドーパミンがとめどなく放出されて辞められなくなってしまうのでしょう。

 

私の大学生時代には、「スロットは計算すれば勝てるからアルバイトより割が良い」と豪語して、気が付いたら中退していた知り合いが何人かいました。

 

本書のように数百億円もギャンブルに使える人は稀です。どちらかといえば、1万円〜10万円を使う方が大半でしょう。

 

確率的にはギャンブルをすればお金が減ります。ただ、難しいのはギャンブルで勝てる人も0人ではない、ということです。

 

例えば手持ち100円からスタートして、じゃんけんで買ったら100円が2倍になり、負ければ0円になるゲームをやった場合、20回連続でじゃんけんに勝つと「1億円」を超えます。

 

勝率は50%なので、20回連続で計算すると「0.000095%」になります。

 

日本人1.2億人で計算すれば、幸運な114人もの人が1億円をゲットすることができます。

 

ギャンブルをやることで儲かる人はごく少数ですがいます。

 

著者の井川さんも、最初のカジノでは100万円が2000万円になっています。

 

もし、初回のビギナーズラックの時点でギャンブルを辞めることができれば、一生嬉しい記憶になりますが、残念ながら、2000万円になったら1億円が欲しくなるのでしょう。

 

株でも、儲かったタイミングで手を引ければ、一生働かなくても暮らせるくらいの資産を作る人はいます。それでも「もっと増やしたい」という欲が出てきて、株の売買を辞められなくなってしまうのでしょう。

 

どちらも「ドーパミン」が過剰に分泌されているのが原因のようですが、人間の能力では、ホルモンを意識的に抑えることは難しいです。

 

最初からギャンブルに手を出さないのが一番良いのですが、ちょっとしたギャンブルをする場所は、周囲を見渡せば至る所にあります。

 

ギャンブルをすればお金を失います。「お金を失うリスクを少なくしたい」という方は、本書を読んで、ギャンブルにハマる疑似体験をしてみてはいかがでしょうか。

 

なお2022年に最新版の自伝『熔ける再び』も発行されています。

 

内容は重複する箇所がありますが、本書で語れなかったエピソードが追加されているので、こちらも読んでみてください。