タクミです。
近年、FIRE(経済的自立と早期リタイア)という言葉が流行っています。
とはいえ、私は31歳ですが、周囲を見ても、FIREをしている人は同年代はおろか、上司を含めてほぼおらず、むしろ50代、60代、中には70代でも働いている人もいます。
FIREを達成するには「まとまった資産」が必要です。少なくとも3000万円以上の資産を作る必要があると考えると、たとえ大手企業で給与が良くても、家族を持っている方には難しいことなのでしょう。
しかし、「FI」は長年にわたり資産を作る必要があるので難しいのはわかりますが、一方で「RE」は思い切りがあれば誰でもやることができます。
今回は、私の父が50代で早期退職することになったので、そのことについて、私の考えをまとめてみました。
定年まで働かなくても早期リタイアするのもありかもしれない【父に息子が思うこと】
50代で早期リタイアする理由は?
インターネット上では、30代〜40代での早期リタイアが目立ちますが、定年が65〜70歳まで伸びた現代では「50代」でも早期退職に入ります。
父は50代半ばです。早期退職の理由については特に述べてはいませんでしたが、「3ヶ月ほど休みをとって好きな旅行をしたい」というのが、大きな理由のようです。
息子の私としては、30年間も私達(私は姉がおります)を育てるために働いてくれたので、父の決断の通り、あとは好きに生きてほしいというのが私の望みです。
私が仕事を始めたのは7年前の2016年です。当時は40代後半だった父ですが、子育てを40代で終えるのは、現代では相当早い方でしょう。
その後、7年間は子育てとは関係なく仕事を続けていたようですが、近年は仕事が減り、暇そうにしていました。
とはいえ、定年まで10年以上あるわけですから、まさか50代半ばで仕事を辞めるとは思っていなかったのが、正直なところです。
50代で早期リタイアする資産はいくら?
50代で早期リタイアと聞くと、一体いくら資産があるのだろう、と気になりますよね。
これは私もわかっていません。
ただ、父は特に貯金をするタイプではなく、お金が入れば旅行に使うタイプの人です。
退職金がもらえるとはいえ、自己都合退職なので、そこまで多くは期待できないと思います。
そう考えると、退職時には1000万円も貯金があったとは思えないので、退職金や失業給付金が入って、ようやく1000万円〜1500万円くらいでしょうか。
これでは退職後の貯金はすぐになくなってしまうと思いますが、あくまで「充電期間」ということで、数ヶ月したら新しい仕事を始めるようです。
定職にはつかないと言っていますので、給与は大きく下がってしまうとは思いますが、既にマイホームのローンもなく、借金も子育てもない状態なので、家賃がかからないことを考えれば、老後の不安は少ないのではないかと思います。
退職後も家賃を支払い続けることを考えると、老後の不安はなくならなそうですが、東京にマイホームがあり、まだ築年数も20年強ということを考えると、残り30年は今の場所に住み続けられそうです。
また、母は働いている状態なので、独り身でいるよりは、金銭的な安心感はあるのではないかと思います。
息子からみた父の早期リタイアすることに対する考え。
冒頭に書いた通り、父が50代半ばで早期リタイアすることについては、「まだ健康なうちに好きなことをやれて素晴らしい決断だ」と私は考えています。
まさしく今、愛読している本に書いてあることが父には起こると思いますが、少なくとも父が長年やりたかった長期の一人旅などは、仕事を辞めることでしか、できるようになりません。
65歳まで残り10年ほど仕事を続けていたとしても、その頃には健康体で旅行する気力があるかはわかりません。
その意味では、子育ても終えてマイホームのローンもなく、1000万円以上のお金がある状態であれば、一時的に早期リタイアという決断をして自由に時間を使うのは、金銭的な不安も少なく素敵なことだと思います。
資産を3000万円、5000万円貯めないとリタイアできないという考えもありますが、それはマイホームがなく、30代〜40代など残りの人生が長い場合に限ります。
既に50代半ばであれば、資産が1000万円ほどであっても、マイホームがあれば十分に早期リタイアはできるのではないかと思いました。
まとめ。仕事を続けるかどうかは、生き方を考えること
仕事を続けるかどうかということは、生き方を考えることだと私は思います。
資産が十分に溜まったタイミングで、計画的にリタイア生活を開始できる人もいれば、子育てが早く終わったので、自由気ままに暮らしたい人もいるでしょう。
早期リタイアというと、どうしても資産に目が行きがちです。しかし、それよりも大切なのは「いつまで、何を目的にして働くのか」ということです。
父は「子供を育てるため」に働いていました。学生結婚だったので、最初は夜間の大学に通いながら、アルバイトをして子育てをしてくれていました。
そのため、一番楽しいであろう20代〜30代は子育てに追われており、自分の時間がなかったのではないかと思います。
私が父と同じ年齢の頃は、のんきに学費の高い私立理系の大学を留年して、のんびり授業を受けていました。
その後、大学院まで行きましたし、31歳の今も子供はいないので、20代〜30代は自分のやりたいことをやり、自由時間を十分に持つことができています。
父にとっては50代半ばの今が青春時代の始まりなのかもしれません。ぜひ、思う存分、自由な時間を楽しんでほしいと考えています。
その一方で、私個人としては、少し寂しくもあります。20代の頃は仕事終わりに新橋や神田で、たまに父と居酒屋に行って、たわいもない話をするのが楽しかったからです。それも今後は無くなります。
息子にとって、一番近い父は、無意識のうちにライバル視する対象になります。「まずは父を超えろ」とよく言いますよね。年功序列の日本では難しいですが、なんとか父の年収に追いつきたいと考えていました。
ちょうど今年にはなんとか追いつくかな、なんて思っていたら、早期退職になったので、もう比較する対象ではなくなってしまいました。
父の退職を通して、私自身も「なんのために働くのだろう」ということを、改めて考えるようになりました。
私は結婚はしていますが、子供はいません。持ち家は高いので買えず、現在も賃貸の状態です。
仮に私にマイホームがあり、資産が5000万円以上あったとしても、仕事は続けるでしょう。
結婚したてであるので、世間体の面で、奥様やご両親に影響することは避けたいためです。
しかし、今から25年後、2047年に私は現在の父と同じ56歳になります。
父は81歳になり、生きている確率は高くはないでしょう。私の祖父、親戚は70歳前後でなくなっている人が多いためです。
もし、2〜3年後に私に子供ができたとすれば、22歳の4年生大学卒業時期になりますから、ちょうど子育てが終わるタイミングかもしれません。
もしその時までに、父と同じようにマイホームのローンも完済していて、資産も残っているなら、私も同じように早期リタイアしているかもしれません。
一方で、子供がいない場合は、奥様と一緒に働いていれば、25年後の56歳には5000万円以上の資産を作ることは難しくはありません。
月10万円、年間120万円の貯金ができ、それを運用していけば7000万円以上の資産になります。
ただ、それだけ資産があったとしても仕事を早期退職しているのでしょうか。やはり考え込んでしまいます。
長くなりましたが、父の選択を息子としては応援したいと思っています。
何せ大学生の頃から苦学して学位をとり、青春時代の時間を子育てに使って、ようやく今のタイミングで、青春の時間を過ごせるわけです。
おそらく10年待って65歳になっていたら、体力も気力も今とは全く違って衰えてしまうでしょう。
私は31歳の現在、仕事も安定しており、年々、収入や資産は増えており、子供がいないため、奥様と自由にお金と時間を使うこともできています。
それでも、いつかは仕事を引退する日が来るわけです。自分で決められる分、タイミングを間違うとその後の人生が厳しくなるかも、という不安があります。
それよりも「仕事を辞めてからやりたいことはあるのか」という点が重要です。
父は幸運なことに「家族サービスではいけなかった、沖縄のマイナーな離島に行きたい」という、やりたいことがあるようです。
私には今のところ、会社を辞めてまでやりたいことがありません。
「ヨーロッパに短期間で良いので滞在してみたい」という気持ちがうっすらとありますが、どちらかといえば、海外出張、赴任でビジネスを通して、世界各地を飛び回る「エリート」っぽいことをやりたい欲が強いです。
20代の頃のように、海外に仕事で行って非日常を味わいたいのです。
仕事を続けるか、自分のやりたいことをやるか。
この2つのテーマはいつの時代も変わらず、人生の重要な課題です。
今回は、私の父の早期リタイアについて記事にしてみましたが、私自身、非常に考えさせられる経験でした。
皆様は何歳まで、どのタイミングまで働きたいでしょうか。既に仕事が辛くてすぐにでも辞めたい人もいれば、仕事を辞めてもやることがないので、惰性で仕事をしている人もいるかもしれません。
最後は自分自身が納得するしかないのですが、できるだけ後悔のないように、仕事をいつまで続けるのか、自分のやりたいことをするのかについて、考えてみてはいかがでしょうか。