タクミです。
たまたま落合陽一さんの公演を聞く機会があり、その公演がおもしろかったので、備忘録としてブログに書きます。
落合陽一さんの本は、昔に少し読んだ程度でしたが、なかなかインパクトがあり面白い内容でした。
落合陽一さんの公演を聞いた感想【AI分野の進歩】
AI分野の専門家は誰もいない
落合さんのような研究者から「専門家はもういない」という発言があり、大変興味深く思いました。
すでに2023年時点でAI分野のスピードが急速に早まり、1分間に2つほど、AI分野の新しいモデルが出現する状態では、1時間の公演をしている間に120個もの新しいモデルを把握できていないから、とのこと。
そのため、AI分野の最先端の研究者であっても、AIの出現スピードに追いつけないので、「最先端」という言葉が合わなくなっている、とのことでした。
そのため、「世界中の誰もが、最先端のAI技術について把握していない」という前提で捉えると良いようです。
AIのスピードに追いつけるのはAIだけ
上述のとおり、AIのスピードはとにかく速いので、人間の力では到底、成長スピードに追いつくことができません。
そのため「AIの動向を知るには、別のAI技術を使うしかない」とのことでした。
落合さんのような研究者が毎日のように新しいAI技術に触れていても、あっという間に新しいAIが出現するわけですから、このスピードに対抗できるのはAIしかないとのことです。
AIの中身を理解できるのはAIだけ
AI技術の出現スピードが急速すぎて、AIしか動向を理解できない、ということは、AIの中身を知れるのはAIだけ、ということになります。
AI技術を使うことで、一瞬で回答が出せたとしても、どのようなロジック(論理)でその答えが出せているのかを、世界中の人間の誰もがわからない、ということです。
一見、答えを瞬時に出せているようで、根拠がわからないものを利活用するのは怖い面もありますよね。
これは私の例えですが、医者の誰もが「なぜその薬が病気に効果があるのか」を理解していないけれど、AIが正しいと判断した新薬を患者に提供するようなものです。
同じく、日銀や金融の専門家たちが編み出した答えよりも、誰もが理解できないけれどAIが導き出した正しい投資先、金利、税金の設定が正しいものを信じられるかということです。
AIが、人間がたったの数十年、数百年程度で培ったノウハウをはるかに超える情報量を持ったとき、エラーの多い人間の判断よりも、AIの判断を正しいととるようになるのでは、と思いました。
AIの進歩が早い時代には、トライ&エラーを高速で回すことが重要
AIの進歩が早い時代には、「やってみなければわからない」ことだらけになるので「とりあえずやってみて、失敗したら新しい方法を試す」という方法が良いと発言していました。
一般的には、組織は失敗を怖がり避ける傾向にあるので、AIに関する情報を仕入れてから合理的な判断をしたい、と考えると思います。
しかし、AI技術の進歩に到底追いつけない現代では、失敗を前提として、トライ&エラーを回していかないと、正しい方向性は見えてこないとのことです。
ここからは私の感想です。賢者は過去の失敗から学ぶといいますし、いまだに過去の失敗例をもとに、未来の失敗を減らすための行動をする方が、成功する確率は上がると思います。
しかし、ことにAIが絡むITの分野では、過去40年〜50年のITの歴史を学んだところで、たったの3ヶ月も経てば、3ヶ月前に正しいと思っていたことが覆るような状態になります。
落合さんでさえ、最新の情報を全て知っているわけではない状態なのですから、一般人の私が「過去のITの歴史や知識、失敗例」をいくら学んでも、それが数ヶ月後には正しいかはわからないということです。
まとめ。AI分野の進歩は想像しているよりも超高速で進んでいる
落合さんの公演を聞いて、AI分野の進歩は想像以上に高速で進んでいることが理解できました。
シンギュラリティという概念(AIのような人工知能が人間の頭脳を追い越すタイミング)があります。
2045年にはそのようなタイミングが来るだろうと予想されていますが、すでにいくつかの分野ではAIの方が人間の頭脳を超えています。(将棋、チェスなど)
落合さんは、将棋のプロ棋士として有名だった羽生善治さんを例を出して、将棋の世界では、AIの方が人間よりも賢くなったことについて、過去に対談したそうです。
落合さん自身、前述したように、AI技術などの専門家としての研究を続けていたのに、ここ数年のAI技術の急速な進歩により、自身がその成長スピードに追いつけなくなったタイミングで「羽生さんの気持ちがわかった」という発言をしていました。
最後に私の感想です。AI技術といっても根本的なITの技術は、過去40年〜50年で大きくは変わっていません。
映画「イミテーションゲーム」に登場した「チューリング博士」の開発したチューリングマシンを基礎として、コンピュータが登場しました。
AIというと、「とてつもない頭脳をもった何か」というイメージがありますが、結局はコンピュータの構成は変わらず、膨大なデータを高速に「計算処理装置」で処理することで、一部の分野では人間の頭脳を上回っている、ということです。
「人間の心理」のような曖昧な概念も、しっかりとデータを集めて分析していけば、医者やカウンセラーがいなくても一瞬で解決方法がわかるかもしれません。
(もやもやする→〇〇というホルモンが過剰分泌される傾向にある→薬の投与か睡眠時間を増やして解決する、など。)
私はIT企業で働いていますが、AIにとどまらず、過去の膨大な知識をインプットしてPCの仕組みを理解するだけでも精一杯の状態です。
GoogleをはじめとしたGAFA、マイクロソフトのような海外のIT企業による成長が話題になりますが、AIに限らずIT分野の成長は今後も続いていくと思います。
IT業界では、嫌でも生涯学習が必須になってしまう業界ですが、今回の落合さんの公演のように、常に新しいことを学べるという点では、知的好奇心を満たすには最高の分野です。
興味がある方は、落合さんの本を読んでみることをお勧めします。