タクミです。都内在住の30代男です。
橘玲氏『シンプルで合理的な人生設計』を読みました。私は橘玲氏の本を複数冊読んでいることもあり、著者の考え方が気に入っています。
本書は過去に橘氏が記載した内容の総まとめの印象を持ちました。
タイトルにあるとおり「感情」よりも「合理的」に考えて「選択の失敗を減らす」ことをテーマに書かれています。
日本人は「合理的」よりも「感情」を優先する。そのため、合理的に生きようと試みた方がうまくいく可能性が高くなる。
一見、当たり前のシンプルなことですが、他の本を引用しつつ、説得力のある書きぶりを読むと、あらためて「合理的に生きることの難しさ」を実感します。
本書のとおりに行動できれば、確かに人生は合理的に設計することができます。
橘玲氏『シンプルで合理的な人生設計』
お金をシンプルに「稼ぐ」「貯める」ことが重要。
本書では、幸福度に関する研究テーマを引用し、「年収は800万円(世帯1500万円)」「世帯資産1億円」をキーワードにしています。
これは有名な研究結果です。「複雑な要素が絡み合う幸福度というテーマの中で、お金だけは明確な基準がある。だからまずはそこを目指そう」ということです。
とはいえ、日本の全人口の中で、世帯年収1500万円以上は3.6%、世帯資産1億円は2.5%と少ないです。
この基準に到達しなければいけない、というわけではなく「この基準を超えるまでは、年収を増やす行動をしたり、貯金を増やすことで、確実に幸せは増えていくのだから、そこから目を背けないようにしよう」というメッセージに感じました。
著者の主張は一貫していて、「「収入」よりも「支出」を減らし、残ったお金を「投資」して資産を増やそう」ということです。
知能は遺伝で決まるなら、お金を稼ぐのは大変?
著者は『言ってはいけない』など、過去の本にも書いているとおり、「知能」「才能」「体質」は「遺伝で決まる」ということを前提にしています。
本書でも、「アイビーリーグを卒業した大学生の10年後の年収と、それ以外の大学を卒業した大学生の年収には、2倍ほどの差がある」と書いています。
アイビーリーグを日本版で読みかえると、「東大、京大、早慶レベルの大学を卒業した学生の10年後の年収と、それ以外の大学を卒業した人の年収には2倍ほどの差がある」ということになります。
つまり、前者の高学歴な学生であれば、大学卒業後10年(22歳〜25歳で大学、大学院を卒業しているとすると、32〜35歳)の段階で、年収は800万円を超えますから、独り身であれば幸福度の基準をクリアできます。
ここまで最短でクリアしなくても、大学卒業後20年(22歳〜25歳で大学、大学院を卒業しているとすると、42〜45歳)の段階、もしくは30年(52〜55歳)の段階で年収800万円を超えれば、幸福度の基準をクリアできます。
ただ、前述のように、貯金を増やしていくためには、まずは稼ぐ必要があります。
そのためには学歴が必要になり、学歴に必要な知能は遺伝で決まる、となると、「誰もが達成できるわけではない」という主張にも思えます。
「シンプルで合理的な人生設計」ではあるものの、「誰でもできるわけではない」というのが、著者の隠れた主張なのでは、と私は思いました。
まとめ。『シンプルで合理的な人生設計』は橘氏の知識を学ぶにはおすすめの本。
本書では、「社会的資本」「人的資本」「金融資本」を軸にして、それぞれの資本を最大化するための知恵が詰め込まれています。
書いてある内容を実践できる人にとって、本書は非常に有益なバイブルになると思います。
一方で、著者の主張である「知能」「才能」「体質」は「遺伝で決まる」ということを前提にすると、「社会的資本」「人的資本」「金融資本」も、生まれた段階である程度は決まっている、と考えることもできます。
「本書のとおり実践しよう」というよりは「本書で人生の最適解を知ったうえで、自分にできる範囲でクリアしていこう」という捉え方をする方が良いと思います。