資格を取得して将来食べることに困りたくない人:将来は安定した生活がしたい。ビジネスで役にたつスキルには「会計・英語・IT」の3種の神器があるというけど、全てをマスターするのは大変だ。本当に「会計・英語・IT」のスキルは必要だろうか。
タクミです。大学院を修了して都内のIT企業に5年勤めている会社員です。
私は、学生時代にビジネスを数百冊読んできました。
その中で「会計・英語・IT」はビジネスをする上で必須のスキルである、という主張が多くの本に書かれていたのを覚えています。
その後社会人になってからは日々の業務に追われており、勉強どころではない状態が続きましたが、29歳の頃から「今まで逃げていた資格勉強を始めよう」と思いました。
ところで、皆さんはなぜ資格勉強をしているのでしょうか。
もちろん「将来、仕事で役立てたいから」という人が多いでしょう。
しかし本音では資格を取得することで、転職や昇進による年収アップを目的にしている人も多いと思います。
- 年収が上がるかもしれない
- 何もしないよりは資格を取っておいたほうが役立つんじゃないか
私も「資格勉強するなら、将来の年収が増えるものだけに絞りたい」というコスパ重視な考え方をしています。
そこで、社会人5年目になり資格試験をそれなりに受けてきた私が、「会計・英語・IT」の資格を取ると食べるのに困らないのは本当か、について考えてみました。
参考までに私の属性・持っている資格は以下の通りです。
学校:私立理系大学(偏差値50:1留)→東大理系大学院
社歴:都内のIT企業
会計:なし
英語:TOEIC890
IT:PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)、ITILファウンデーション(IT運用管理における入門レベルの資格)
会計の分野はこれから勉強したいと思っていますが、それぞれの分野の資格が必要なのかについて分析してみます。
会計・英語・ITの資格を取ると食べるのに困らないのは本当か。
会計は知っておくと便利。しかしマストではない。
会計の資格で一番有名なのは「簿記」です。
他には「FP(フィナンシャルプランナー)」や、金融機関で働く方はそれこそ膨大な数の会計の資格があります。
また最上位のレベルになると「公認会計士」があります。難関資格として有名ですよね。
今回はフルタイムの方でも、空き時間や週末の時間を使って取得できるレベルの資格を想定します。
すると会計では簿記3級、2級。FP3級あたりがターゲットになります。
それでは簿記やFPを取得すると食べるのに困らないかといえば「資格だけでは役に立ちにくい」のではないかと思います。(あくまで1社員の主観です)
理由は「簿記、FPを取得している人は多くいるから」です。
医者や弁護士、その他の士業の方の年収が高いのは「希少性がある(ほとんどの人が試験に合格できない)」からこそです。
一方、簿記3級やFPは努力次第で取得は可能な資格です。(簿記1級は除きます。また2級も難化傾向です)
そのため、簿記やFP単独で資格を取得しても。年収を増やすことや仕事を見つけることには繋がりにくいと考えます。
それでは「会計の資格は不要か」というと、むしろ「持っていた方がお得」であると考えています。
例えば簿記を例に取ると「簿記の歴史は古く、すべての企業で採用されている」ことがわかります。
簿記は14世紀〜15世紀にイタリアローマの数学者が発表しているそうです。それから簿記は、現在まで廃れずに受け継がれているということは「簿記は会計の基礎中の基礎」といえます。
ということは「簿記を学ぶ→会計の基礎知識を学ぶ→企業の財務諸表などが理解できる→経済ニュースを理解できる→個人の資産運用・独立した際の資金繰りに役立つ→個人の家計簿を簿記で表し、資産と負債、純資産を把握できる」ということになります。
つまり簿記を学ぶことで・・
直接的に年収アップ、キャリアアップには繋がりにくいが
間接的にお金の管理が今まで以上に上手にできるようになるので、資産が手元に残ることが期待できる。
ということになります。
私は会計の資格は何も持っておりませんが、少なくとも「簿記」は勉強したいと考えています。
英語は資格を持っていると有利。しかし使う機会はない。
英語の中で有名な資格は「英検」もしくは「TOEIC」です。
しかし「英検」は日本独自の試験、「TOEIC」は日本と一部のアジアの国でしか重要視されていないようです。
世界標準なのは「TOEFL」の方で、こちらは「TOEIC」のアカデミック版かつ難化版といえます。ただ海外の大学、大学院の入試などでしか使う機会がないので、ほとんどの日本人の人は受けたことがない試験だと思います。
さて、多くの人は日本企業で働くわけですから、今回は「英検」「TOEIC」に絞ります。
まず「英検」か「TOEIC」か、どちらを受けるべきかで考えれば、間違いなく「TOEIC」です。
理由は明確で「日本企業で具体的なTOEICのスコアが明示されることが多い」「TOEICには不合格はなくスコアとして点数が残る」という性質があるためです。
そのため、前述の「簿記、FP」と比較すると「TOEIC」のスコアは昇進・転職で大きな威力をもちます。
たまに「TOEICなんて持っていても英語は話せないから意味がないよ」という人がいますが、それは本当です。
しかし「TOEIC」は「英語を話せるようになるための試験」ではありません。「日本企業の就職・昇進・転職に有利になるための資格」です。
TOEICのスコアを見て、企業側は「英語を話せる人」を求めているわけではなく「TOEICのように勉強すればスコアが伸びる試験でどれだけ頑張ることができたか」「英語は苦手ではないか」を見ていると思った方が良いです。
さて、私はTOEIC890点は大学院の就職活動の時代に「大量の時間を使って」ゴリゴリと模擬問題を解きまくってスコアメイクしました。
しかし、それでは新卒採用時に役に立ったのかといえばわかりません。30社ほど受けましたが、TOEICのスコアについて聞かれたことは1度もなかったからです。
この理由は、私が受けていた企業が「日本の有名企業」だったこともあり、応募してくるほとんどの学生が「高学歴+TOEIC800点以上をもっていた」ので「TOEICでは差別化ができなかった」からと考えています。
しかし、それではTOEICは役に立たなかったのかといえば、大いに役立ったと思います。
なぜなら、先ほどの新卒時の就活の例で言えば「他の学生がもっているTOEIC800点以上のスコアをもっていなかったら、相対的にマイナス評価になる」可能性があったということになるからです。
また、現在の会社でも、たまにTOEICのスコアの話題になることがあります。その時にTOEIC800点以上をもっていることを伝えると、十分にプラス評価になる経験をしています。
今後、仮に転職活動をする際にもTOEICのスコアはアピールできると考えています。
ただしTOEIC800点取得は想像よりもハードです。まずはTOEIC600点を超えることを目標に勉強を初めて見ることをオススメします。
ただ一つ言えるのは、せっかくTOEICの資格を取得しても「仕事は日本人とのやり取りばかりで、全く英語を使わない・話す機会がない」という人も多いということです。
せっかくTOEICで良いスコアをとって待遇の良い企業に入社できても、英語を使う機会が全くなく、気がついたら英語のレベルが下がっていたということになる可能性もありますのでご注意ください。
ITは資格よりも経験重視。IT企業に勤務するなら資格地獄。
ITの資格は会計・英語とは異なり「範囲が広すぎる」ので、定義が難しいところです。
IT業界以外の方は、ITの資格といえば「PC検定」のようなものかな?という印象を持つと思います。
大きくITの資格を分類すると以下の通りです。
・戦略・マネジメント系の資格:ITストラテジスト、プロジェクトマネジャー、PMP
・IT全般の基礎知識を学べる:ITパスポート、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験
・プログラミング・ネットワークを理解するのに役立つ資格Java,LPIC,CCNA,Oracle
・その他の資格:PC検定、MOS(microsoft office specialist)
このようにITの資格は多種多少です。
IT業界で働いている人であっても、IT系のすべての資格を取得することは不可能です。
その理由は、IT系の資格は膨大に存在すること、そして、マネジメント系とプログラミング系の資格を両方取得しても、いずれか一方の仕事しかできないことが多いからです。
例えば大学で情報系の学科に所属してプログラミングのスキルを身につけており、Javaなどの資格を取得していた人がいるとします。
この人がSIerと呼ばれる企業に入社すると、身につけたプログラミングスキルを生かすことはほぼなくなります。
その理由は、プログラミングは他者に外注して、本人はプロジェクトのスケジュール管理、顧客調整のためにエクセル、パワーポイント、ワードしか作成しない生活になるからです。
逆に学生時代にガリガリと資格勉強をしてマネジメント系の資格をもっているが、プログラミング経験がない人がプログラミングをする会社に入社すると、マネジメントの経験を積むことができず、せっかく取得した資格を生かすことができなくなります。
さて、本題に戻りますが多くの企業では「IT(システム)部門」が存在していると思います。
それでは、IT企業以外の業種、かつIT・システム部門以外の人であればITの資格は必要ないのでしょうか。
私は、普段の業務でITに触れる機会がない人であれば、IT系の資格は不要だと考えています。
理由は、ITを普段の業務で触れていない人がITの資格の勉強すると「挫折する」からです。
ITは、ベースラインに「数学」「アルゴリズム(パズルのようなもの」など理系かつ数学的な素養がある方でないと理解が難しい分野がたくさんあります。
特にプログラミングについてはアルゴリズムを理解できる(嫌いにならない)スキルがないと高確率で挫折します。
つまり「今後はITが成長産業だからITの勉強をしよう」「AIがブームだからデータサイエンスを学ぼう」とするのは素晴らしいことですが、前提として「高度な数学の知識(大学レベル含む)」がないと難しいのです。
ただし、会計でいう「簿記」のように、ITの基礎知識をもっているとIT系のニュースの用語が理解しやすくなるので、「ITの苦手意識をなくす」という目的でITの資格勉強をすることはオススメです。
その場合は「ITパスポート」のように「用語の暗記だけで合格ができる」資格から挑戦してみることをオススメします。
ITの用語は非常に多く、さらに年々新しい用語が増え続けています。
つまり「ITの資格勉強」だけでは、増加し続けるITの知識についてはいけないことになります。
とはいえ、ITといえどもベースとなっている基本知識が変わることはないため「ITの基礎知識」として、ITパスポートなどの資格にトライすることはオススメです。
しかし、IT業界以外や情報システム部で働く人以外であれば「ITの資格は想像以上に難関の資格が多い」上に「資格をもっているからといって昇進に有利になる資格はない」ことを覚えておいてもらえればと思います。
なお、私がPMP、ITILファウンデーションの資格を取得したのは、私がIT企業に勤めており、企業の昇進の前提試験として必須だったからです。
ITはどの業種でも、またみなさんのもっているパソコンやスマホの仕組みを理解することにも役立ちます。教養という意味でIT系の資格にトライするにはオススメだと思います。
まとめ。資格に過度に期待しすぎず、幅広く知識を身につけよう。
今回は「会計・英語・IT」の資格を取ることで食べることに困らなくなるのかについて記事を書いてみました。
結論としては「TOEIC」は確かに役立つことは多いが、それ以外の資格は過度に期待せず、教養を身につけるために余裕があれば勉強すれば良い、と考えています。
ゴールドラッシュでは、金を掘りに行った人々ではなく、金を掘るためのツルハシを販売した人が儲かったという有名な話があります。
日本は特に「勉強は良いこと」「資格があることは良いこと」「本を読むことは良いこと」という「学習至上主義」な風潮があるように感じます。
そのため、会計・英語・ITに限らず、多種多様な資格が存在するわけですが、実際には資格を作って運営する方が儲かるのではないかと考えたりします。
今回ご紹介した「会計・英語・IT」は教養として学んでおくことで損はない知識ばかりです。
しかし、直接年収アップにつながったり、転職で有利になる資格は限られていると思います。
そして資格を取得するには、勉強の時間も、資格を受けるための受験料も参考書も必要です。
そのため「将来年収を増やしたい」という方であれば「TOEIC」に絞って勉強することをオススメします。
また「資格を取得して年収アップ」と考えるよりも「副業にトライして副収入アップ」の方が、資格取得よりも確実に早くお金を稼ぐことができます。
「将来困らないように会計・英語・ITの資格を取得しよう」という気持ちは素晴らしいですが、過度に資格に期待しすぎず、「教養として少しだけでも学んでみようかな」くらいの気持ちで勉強される方が良いと思います。
社会人になってから転職によりスキルアップをするには、資格を取得するよりも仕事場での経験が重要になります。
あくまで仕事の経験を増やすことに焦点を当てて、余った時間で仕事に役立つ知識を身につけるための補助として、資格勉強をするというスタンスでいきたいと思います。