タクミです。
芸人として、かつIT企業でも働く厚切りジェイソン氏の著書『ジェイソン流お金の増やし方』を読みました。
投資初心者むけの内容になっていますが、これから資産形成を始めたい方には、良いきっかけになる本だと思います。
厚切りジェイソン氏『ジェイソン流お金の増やし方』を読んだ感想
「貯金」よりも「投資」をする
著者は本書の中で「投資」を進めています。
アメリカでは日本のように老後の年金制度が整っていないこともあり、若年層から投資をする人が多いようです。
一方、日本では投資は「ギャンブル」という心理が強いのか、なかなか投資をしている人が増えません。
本書では、一貫して「投資を継続すること」の重要性が書かれています。
特に「米国株投資」が対象になります。すべての投資がおすすめなのではなく「長期的に見ると米国株を購入して投資することでお金は増える」ということを解説しています。
日本でも米国株を購入する主張の本が多いです。私も以下の本を参考にして米国株投資を始めたのですが、2年半の間で、一時期は200万円を超える評価額にまで増加して驚きました。
せっかく貯金をするなら、そのお金を資産運用に回そうというのが著者の主張です。
FIREを目的にしない
著者は既に家族の生活費を含めて、一生分のお金を持っているようです。
家族はお子様3人と奥様を入れた5人とのことですので、仮に月の生活費を30万円として、50年分で計算すると、360万円×50→1億8000万円になります。
おそらく、もう少し生活費は多いでしょうから、少なくとも2億円以上の資産をお持ちなのではと思います。
それだけの資産を持っていても、著者は仕事を継続しているようです。
FIREの「FI」は経済的自立です。一方で「RE」は「早期退職」を意味します。経済的自立は目指すけど、早く仕事をやめたい、ということは、著者は考えていないようです。
むしろ「FI」を達成することで、「自分の好きな仕事だけを選択できる」のが素晴らしいことだ、と著者は書いています。
確かに、仕事自体は自分で働く時間や内容を選べるならば、むしろ楽しいものになると思います。
経済的自立をするまでの間は、どうしても肉体的、精神的に苦痛を伴う仕事を続けないといけないかもしれませんが、経済的自立をしてしまえば、仕事を選べる=ストレスが減るというのは、とても羨ましいですよね。
「お金を稼ぐこと」よりも「お金を使わないこと」が大切
著者は、コーヒーがお好きなようですが、2リットルのペットボトルにコーヒーを淹れて持ち運んでいるようです。
確かにスタバのコーヒーは安くても300円以上、平均して500円くらいは使いますよね。それも毎日利用するとなると、月に1万円、年間12万円ものお金になります。俗にいう「ラテマネー」というやつです。
1回1回は大した金額でなくても、積み重なると大きな支出になります。著者は「時間」よりも「お金が減らない」ことを重視しているようで、スーパーを比較して一番安いものを購入しているようです。
公共交通機関もほぼ使わず、通勤は「徒歩」で、10〜15キロを歩いているとのこと。相当の倹約家であることがわかります。
結局はお金が何もせずに増える、ということはなく「ムダなものを買わずに支出を控える」ことしか、資産を増やす方法はないようです。
著名人という立場の著者ですから、お金の使い方も豪快になりそうですが、「見栄を張らない」ということができているため、無駄なお金は徹底して使わないようにしているようです。
新興の投資商品には手を出さない
お金を短期間で増やそうとすると、新しいものに飛びつきたくなりますよね。
仮想通貨や暗号資産など、世の中には数多くの新しい金融商品があります。
著者は、そのような投資商品には手を出さない、ということを書いています。「今は良くても50年後に仮想通貨などの商品が残っているかを想像すると、残っていないだろう」という理由だそうです。
他にも中国株や不動産投資についても触れていますが、あくまで米国株投資との比較として説明しているだけで、おすすめはしていないようです。
私の知り合いにも、仮想通貨で運用していた200万円を急に引き出せなくなった、など、仮想通貨の恐い面を知ったこともあります。
いずれにしても「投資」にはリスクを伴いますが、「得体のしれないもの」に投資することは避けよう、というのが著者の主張です。
お金を使うときは「本当に欲しいものなのか」を問いかける
著者は、何か欲しいものがあったときは「それが本当に欲しいものなのか」を考えることを進めています。
これは非常に効果のあるやり方だと、私自身思っており、インターネットやお店を見て、欲しい商品が出てきたとしても「これを買うことで何が達成できるんだろう」という気持ちになると、一気に冷静になって、お金を使うことを辞められた、という経験が何度もあります。
どんなに欲しいものでも、少し待てばセールになったり、安く手に入れる方法はあるので、衝動買いをしないこと、を著者は主張しています。
よくよく考えてみると、商品は「売り手が売りたい値段で販売しているもの」であって、「誰かの人生を良くする」という補償があるものではありません。
それよりも、資産を増やして、年々、経済的自立に向けて行動した方が、結果として「自分自身で仕事のやり方を選べる」ようになるわけですから、それの方がものを買うよりも何十倍も価値があることかもしれません。
もちろん、お金を使って得られる体験も貴重です。極端に物欲を抑える必要はありませんが、何かを欲しいと思ったときは「1日だけ待つ」ということを意識するだけでも、衝動買いを減らせると思います。
まとめ。お金の増やし方は非常に基本的
本書はベストセラーのようです。著者が知名度があるというのも理由ですが、何より「再現性が高い」からだと思います。
本書では、誰でもできることしか書いていません
- お金の無駄遣いを減らす
- 貯金でなく投資をする
- コツコツと長期間、投資をする
- 余計なお金(仮想通貨など)には使わない
本当に「お金を増やすための正論」しか書かれていないと思います。なので、反論しようがない、というのが、高評価の理由なのかな、と私は思いました。
この本を読むと、「お金を増やす方法に裏技はない」ということがわかります。著者は売れっ子の芸人さんですし、IT企業でも働いているわけですから、「通常のサラリーマンよりも高収入」であることは間違いありません。
しかし、それ以上に重要なのは「高収入であり、著名人であるにもかかわらず、ごくごく一般的なお金の節約、投資をコツコツできる」という希少性があるからこそ、著者は30代前半で数億円の資産を作れたのではないかと思います。
よくあるお金の本のように「とにかく副業をしよう」「転職して年収を増やそう」みたいなことは書かれていません。これらは正論のようで「一部の学歴、社歴が良い人」しか通用しない方法だったりします。
一方で、お金の使い方は誰でも改善する方法はあるわけです。そのため、本書を読んで「俺には(私には)できないよ」と思う人は少ないのではと思います。
すでに他の投資本を読んでいる方には不要だと思いますが、投資初心者の方や、投資の成績が振るわず、仮想通貨などの即効性のありそうな投資商品に目が眩んでしまった人の薬として、本書は役立つのではないかと思います。
特に面白いエピソードがある訳ではありませんが、非常に真っ当なことが書かれているという意味で、本書を読むのはおすすめです。